バーチャル展示 性的マイノリティってなんだろう?

2024.5.10

バーチャル展示 性的マイノリティってなんだろう?


近頃、「性的マイノリティ」という言葉を聞くことがあるかと思います。
メディアなどでも取り上げられることが多くなってきていますが、間違った情報や認識、勘違いなどきちんと理解されていない部分もあります。
今回のバーチャル展示では、多様な性に関する図書を紹介し、皆さんの理解を深める手助けのひとつとしていただければと思います。
性的マイノリティとは?

同性に恋愛感情をもつ人や、自分の性に違和感がある人などのことを「性的マイノリティ」といいます。

性的マイノリティについての関連資料

タイトル著者出版社出版年
聞きたい知りたい性的マイノリティ : つながりあえる社会のために杉山貴士日本機関紙出版センター2008年
セクシュアルマイノリティ : 同性愛、性同一性障害、インターセックスの当事者が語る人間の多様な性セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク編著 ; 池田久美子 [ほか]明石書店2003年
性のあり方の多様性 : 一人ひとりのセクシュアリティが大切にされる社会を目指して二宮周平日本評論社2017年
子どもと性浅井春夫日本図書センター2007年

この性的マイノリティの言葉の中に「LGBT」「性同一性障害」などが含まれます。
ひとつひとつ、内容を確認してみましょう。
LGBTとは?

→LGBTは、
Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)
Gay(ゲイ:男性同性愛者)
Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)
Trans-gender(トランスジェンダー:生まれた時の生物的な性別と、自分の認識している性別が一致していない人)
の頭文字をとって名付けられた言葉です。

現在ではこの4つにあたる人々だけでなく、最近では、さらに「LGBTQ+」「LGBTQIA+」という言葉もでてきています。
Questioning(クエスチョニング:性自認や性的指向を決められない、迷っている)
Intersex(インターセックス:身体的性において男性と女性の両方の性別を有している)
Asexual(アセクシャル:どの性にも恋愛感情を抱かない)
そして、これらのセクシュアリティ以外にもさまざまなセクシュアリティがあるという意味で「+」がつけられています。

LGBTについての関連資料

タイトル著者出版社出版年
台湾同性婚法の誕生 : アジアLGBTQ+燈台への歴程 (みち)鈴木賢日本評論社2022年
みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT遠藤まめた筑摩書房2021年
はじめて学ぶLGBT : 基礎からトレンドまで石田仁ナツメ社2019年
LGBTを読みとく : クィア・スタディーズ入門森山至貴筑摩書房2017年
LGBTの子どもに寄り添うための本 : カミングアウトから始まる日常に向き合うQ&Aダニエル・オウェンズ=リード, クリスティン・ルッソ著 ; 金成希訳白桃書房2016年
職場のLGBT読本 : 「ありのままの自分」で働ける環境を目指して柳沢正和, 村木真紀, 後藤純一実務教育出版2015年
LGBTってなんだろう? : からだの性・こころの性・好きになる性藥師実芳 [ほか]合同出版2014年
LGBT BOOK : NHK「ハートをつなごう」NHK「ハートをつなごう」制作班監修太田出版2010年

次に「LGBT」のそれぞれの頭文字について関連のある本を紹介します。
【L】Lesbian(レズビアン)

”性的指向が女性に向く女性”を指す言葉です。

ちなみに、あくまでも性的指向が女性に向いているというだけで、その人の性表現(容姿・仕草・言葉遣いで表現される性別)が男女どちらかは関係ありません。つまり、いわゆる”ボーイッシュ”なレズビアンもいれば、”女性らしい”性表現をするレズビアンもいます。

【L】Lesbian(レズビアン)についての関連資料

タイトル著者出版社出版年
女性学入門 : ジェンダーで社会と人生を考える杉本貴代栄編ミネルヴァ書房2018年
レズビアン・アイデンティティーズ堀江有里洛北出版2015年
「レズビアン」という生き方 : キリスト教の異性愛主義を問う堀江有里新教出版社2006年
女性とメディア北九州市立男女共同参画センター"ムーブ"編明石書店2005年

【G】Gay(ゲイ)

”性的指向が男性に向く男性”を指します。

レズビアンと同じく、分類に関わるのは性別と性的指向だけで、性表現は関係ありません。いわゆる”オネエタレント”などからもイメージしやすい「女性らしさ」を表現するゲイから、見た目や仕草では見分けのつかないゲイまで様々です。

【G】Gay(ゲイ)についての関連資料

タイトル著者出版社出版年
あいつゲイだって : アウティングはなぜ問題なのか?松岡宗嗣柏書房2021年
新宿二丁目の文化人類学 : ゲイ・コミュニティから都市をまなざす砂川秀樹太郎次郎社エディタス2015年
ジェンダーと社会 : 男性史・軍隊・セクシュアリティ木本喜美子, 貴堂嘉之編 ; 赤石憲昭 [ほか著]旬報社2010年
ゲイカップルのワークライフバランス : 男性同性愛者のパートナー関係・親密性・生活神谷悠介新曜社2017年
ゲイのボクから伝えたい「好き」のハテナ?がわかる本 : みんなが知らないLGBT石川大我太郎次郎社エディタス2015年
「ゲイコミュニティ」の社会学森山至貴勁草書房2012年
ゲイ・アイデンティティ : 抑圧と解放デニス・アルトマン著 ; 岡島克樹, 河口和也, 風間孝訳岩波書店2010年
同性婚 : ゲイの権利をめぐるアメリカ現代史ジョージ・チョーンシー著 ; 上杉富之, 村上隆則訳明石書店2006年
ゲイという「経験」伏見憲明ポット出版2004年
ゲイ文化の主役たち : ソクラテスからシニョリレまでポール・ラッセル著 ; 米塚真治訳青土社1997年

【B】Bisexual(バイセクシュアル)

性的指向が男性・女性のどちらにも向かう人を指す言葉で、日本語では両性愛者とも言います。

性的指向の向く性別は、一つとは限らないということです。当人の性別で、”バイセクシュアル女性”、”バイセクシュアル男性”と分類することもあります。 同性愛者と比べると、なんとなくイメージしづらいことがあるのかもしれません。 しかし、バイセクシュアルも多様な性のあり方の一つであり、優劣はありません。異性愛者とも同性愛者とも異なる一つの性のあり方として捉えることがポイントです。

【B】Bisexual(バイセクシュアル)についての関連資料

タイトル著者出版社出版年
バイセクシュアルという生き方フリッツ・クライン著 ; 河野貴代美訳現代書館1997年

【T】Transgender(トランスジェンダー)

一言でいうと「”生物学的な性別”と”性自認”が異なる性」と言えます。

具体的には、
・”女性(男性)の身体”で産まれたが、自分のことは男性(女性)だと思っている人
・”男性(女性)の身体”で産まれたが、男性(女性)として生きることに違和感を感じている人
などが挙げられます。

【T】Transgender(トランスジェンダー)についての関連資料

タイトル著者出版社出版年
トランスジェンダー入門周司あきら, 高井ゆと里著集英社2023年
トランスジェンダーの原理 : 社会と共に「自分」を生きるために神名龍子ポット出版プラス2022年
トランス男性によるトランスジェンダー男性学周司あきら大月書店2021年
トランスジェンダーと現代社会 : 多様化する性とあいまいな自己像をもつ人たちの生活世界石井由香理明石書店2018年
性別に違和感がある子どもたち : トランスジェンダー・SOGI・性の多様性康純編合同出版2017年
トランスジェンダーの心理学 : 多様な性同一性の発達メカニズムと形成佐々木掌子晃洋書房2017年
トランスジェンダーとして生きる真木柾鷹, 山田正行編同時代社2006年
ジェンダーで学ぶ文化人類学田中雅一, 中谷文美編世界思想社2005年
明るいトランスジェンダー生活佐倉智美トランスビュー2004年
語り継ぐトランスジェンダー史 : 性同一性障害の現在・過去・未来虎井まさ衛編星雲社2003年
トランスジェンダリズム宣言 : 性別の自己決定権と多様な性の肯定米沢泉美編社会批評2003年
トランスジェンダーの時代 : 性同一性障害の現在 (いま)虎井まさ衛星雲社2000年

トランスジェンダーと性同一性障害

トランスジェンダーは、「性同一性障害」と同じ意味で用いられることがありますが、両者のニュアンスは若干異なります。

「トランスジェンダー」は、生物学的性と性自認が一致しない客観的な状態を意味します。 トランスジェンダーであることについて、本人の受け止め方はさまざまです。トランスジェンダーのままで問題ないと考えている方もいる一方で、生物学的性と性自認を一致させたいと考えている方もいます。

これに対して「性同一性障害」は、生物学的性と性自認が一致しない点はトランスジェンダーと同様ですが、不一致について本人が何らかのネガティブな認識や感情を持っているのが大きな特徴です。 性同一性障害の方の多くは、精神療法・ホルモン治療・外科的治療(性別適合手術)などによって、生物学的性と性自認を一致させたいと考えています。

このように、トランスジェンダーが中立的・客観的側面の強い用語であるのに対して、性同一性障害は本人の意思や価値判断を含んでいるという違いがあります。 また、性同一性障害の方は、ある要件を全て満たす場合に限り、家庭裁判所に戸籍上の性別の変更を申し立てることができます。

「性同一性障害」についての関連資料

タイトル著者出版社出版年
臨床心理士・カウンセラーによるアドボカシー : 生徒、エイズ、吃音・精神障害者、性的・民族的マイノリティ、レイプ・DV被害児〈者〉の声を聴く井上孝代編風間書房2013年
性同一性障害と戸籍 : 性別変更と特例法を考える針間克己 [ほか]緑風出版2013年
境界を生きる : 性と生のはざまで毎日新聞「境界を生きる」取材班毎日新聞社2013年
性同一性障害 : 3.11を超えて谷合規子論創社2012年
性同一性障害って何? : 一人一人の性のありようを大切にするために野宮亜紀, [ほか] 緑風出版2011年
女性同一性障害 : 児童期・青年期の問題と理解ケネス・J・ズッカー, スーザン・J・ブラッドレー [著] ; 鈴木國文 [ほか] 共訳みすず書房2010年
性同一性障害のエスノグラフィ : 性現象の社会学鶴田幸恵ハーベスト社2009年
性同一性障害 : ジェンダー・医療・特例法石田仁編著 ; 田端章明 [ほか]御茶の水書房2008年
わたし、男子校出身です。椿姫彩菜ポプラ社2008年
変えてゆく勇気 : 「性同一性障害」の私から上川あや岩波書店2007年
性同一性障害と戸籍 : 性別変更と特例法を考える針間克己 [ほか]緑風出版2007年
性同一性障害の社会学佐倉智美現代書館店2006年
現代日本の社会意識 : 家族・子ども・ジェンダー渡辺秀樹編慶應義塾大学出版会2005年
「解説」性同一性障害者性別取扱特例法南野知惠子監修日本加除出版2004年
性同一性障害30人のカミングアウト : I recognize myself as what I am!相馬佐江子編双葉社2004年
性同一性障害の基礎と臨床山内俊雄編新興医学出版社2004年
女子高生になれなかった少年 : ある性同一性障害者の青春時代佐倉智美青弓社2003年
性同一性障害と法大島俊之日本評論社2002年
私、わたし : ろう者で性同一性障害27歳の心の葛藤緒方英秋講談社2002年


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